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神様に会えたなら

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自分だって、普通の子に生れたかった

昔は、そう考えてた時もあった

今は――――――――――










私は羨ましかった

薫ちゃんのことが、葵ちゃんのことが

ずっと、ずっと羨ましかった



運動の出来る、明るい薫ちゃん

勉強の出来る、賢い葵ちゃん

じゃぁ、私は何が出来る?



人の顔色を読むのが得意なだけの私

自分に秀でた所なんて何も無い、力だけが取り得の私

知識ばかりは多いけど、活用の術を知らなくて

一度危険が身に迫れば、思うように動けもしない

普段は考える事も無い、ふと胸を占める落ち込んだ気持ち



そんな時は、落ち込み気分を振り払うため

そっと胸に手を当てて、彼の笑顔を抱き締める










ウチは羨ましかった

薫のことが、紫穂のことが

ずっと、ずっと羨ましかった



怖いもの知らずで、あけすけな薫

要領が良くて、ちゃっかりした紫穂

距離を測るのが下手なウチは、立ち止まってばかりいる



一歩引いてしまう、大人の振りした子供の自分

甘えたくても、どうすればいいか解らない

時には我侭を言いたくて、結局何も言えなくて

何時でも我慢を続けてて、今日も誰かの尻拭い

いつも損してばかりやと、胸の奥では不満だらけ



時に溜息を吐きたくなるけれど、仕方ないなとウチは笑う

眼鏡がお揃いの彼みたいに、頼られるのも悪く無いから









あたしは羨ましかった

葵のことが、紫穂のことが

ずっと、ずっと羨ましかった



葵は、クールで知的な感じの美少女。そして何より、眼鏡っ娘。

紫穂は、ちょっと不思議系入った美少女。強調すべきは、発育の良さ

二人は可愛い。同性のあたしから見ても、とても可愛い



なら、あたしは?

オヤジな性格は自覚してる。今のところは直す気も無い

でも、普通の子供でいたいと思う事だって在るんだ

たまには、アイツに可愛いって言われたい

一度で良いから、言って欲しい



でも、そんなの似合わないって解ってるから

あたしは手に取った仮面を、付けないままに放り捨てる










自分に無いものを持つ二人が、何時だって羨ましかった

自分に無いものを持つ誰かが、何時だって羨ましかった



今だって、羨ましい事に変わりは無い

けれど、それは自分が嫌いだからじゃない

自分に生れてきた事を、もう後悔なんてしていない



だから、もし神様なんてモノが居るとしたら

だから、もし神様なんてヤツに出会えたら

その時は、思い切り伝えてやろう。

神様がびっくりするくらいの大声で





―――――――――――ありがと、ってさ