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ケイ

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―――――また、また会えるよね

―――――それは願いではなく、誓い





「オイラ、かーちゃんの足手まといでしかないのかな・・・」

Tシャツと半ズボンに身を包んだ、黒髪猫目の子供―――ケイが、ポツリと漏らした。
GSと呼ばれる存在が、自分たちを祓おうとやって来た。
それを知ってからずっと考えていた、どうすればいいのかを。
結果、自分の非力さを再確認し、あり様に疑問すら抱いてしまったのだ。
否定してほしかったのかもしれない。
しかし、返ってきたのは慰めの言葉ではなかった。

「バーカ」

ケイの心が驚愕に満たされる。
まさか、人間であるにもかかわらず優しくしてくれた男―――横島が
そんな事を言うとは思えなかったから。

反射的に、俯いていた顔を上げようとした所で、
がっち、とヘッドロックを決められた。
息がかかりそうなほどに、横島は顔を近づけ

「お前がいるから美衣さんも頑張れるんだよ。
 だから、そんな落ち込むなって。
 それにさ、あんま溜め込んでるとココに悪いぜ」


不敵に笑いながらそう言い放ち、
ヘッドロックを解いて、ケイの胸を拳でとん、と突いた。
不意の攻撃にケイは頬を染める。
そんな様子には気が付かないままに、横島は手を頭にぽん、と置く。
くしゃくしゃと撫でながら、横島は言った。

「ま、弱音はきたい時もあるだろーしな。
 胸くらいなら、いつだって貸してやるぞ」

太陽を思わせる暖かい微笑みを浮かべながら。










過去の記憶から、眼前に広がる現在へと意識を移す。
東の空から上ってくる朝日を、迷いの無い目に映しながら
少年ケイは右拳を振り上げて高らかに叫んだ。



「いつかっ!
 にーちゃんをおいらのお嫁さんにするんだーーーーー!!!」








その姿を、後ろから木の陰に隠れて
均整のとれた肢体で泣き黒子がチャームポイント、ケイの母―――美衣がじっと見ている。
頼もしげな息子の姿に感極まったのか、彼女は、はらはらと涙を落としていた。