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堕落

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「拙者は、犬ではなく狼でござる!」

「いや、犬だろお前は」

「犬じゃないもんっ!!!」



ある意味、よく聞く横島とシロのやり取り。
だが、今日はなにやら様子が違う。
横島がシロの傍に歩いて来て
ぽふ、と手を頭の上に置いた。

なでなで



「犬だな」

「い、犬じゃないでござる」



ぶんぶか、尻尾を振りつつも、その一線は譲れない。
頬が緩むのを止められはしなかったが、それでも否定の言葉を放つ。

ソレを聞いた横島は
手を頭から動かし、白銀の髪を掻き分け首筋を撫でた。

さわさわ



「犬だな」

「お・・・・・・おおかみでござるよ」



くすぐったくも、切ない感触に身を捩る。
頬が熱くなるのを感じたが、それでも彼の言葉を受け入れない。

ソレを聞いた横島は
手を首筋から動かし、耳元を通って頬へと当てた。

すりすり



「犬だな」

「い、いぬじゃ・・・・・・」



今度は、最後までも言わせなかった。
頬につけた手を、顎へと滑らせ
親指と人差し指の指先を優しく当てて、シロの顔を僅かに持ち上げる。
息さえもかかる程の至近距離で、目線が交錯した。

横島は、シロから目を離さない。
まるで、唇を奪おうとしているかのように。



「シロ。お前は――――――――――










――――――――――俺の、犬だな」










「・・・・・・・・・・はい」





――――――――こうして、犬塚シロは堕ちた。
















「ちゅーわけで、狂犬病の予防接種、行ってきまーす」

「くぅ~ん」