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アンチラ

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夜闇が辺りを覆う中
月が煌々と辺りを照らす
それをぼんやりと眺めながら
私は私を思う



月に関わる私の種族
人間が語り継ぐ物語の中にも現れる

我が種族の存在が先なのか
人が語り始めた事が先なのか
どちらの方が、私の起源となるのか

答えを望まない問いかけ
ふと浮かび上がった思い付き

頭の中をそんな考えで埋めながら
ただ、天頂の月を見やる



蝉噪が辺りに響く中
静かに大地へ腰を下ろす
月明かりに照らされながら
私は彼を想う



日ごとに形を変えながら、本当の姿は何も変わっていない
その事が、彼を連想させる

月光は私を優しく包み上げる
しかし、私の手が月に届く事は無い





それは

まるで、現実の如く





立ち上がり
私の力を一線、横薙ぎに振るう
心に浮かんだ迷いを断ち切らんが為に



立ったそのままで
再び座る事は無く、空を見上げた

そこには





変わらずに輝いている満月

大地を遍く照らし出す

孤独に輝く月が浮かんでいた








「いきなり斬りつけられるとは・・・・・・俺って嫌われてんのか?」

「そんなことないわ~、アンチラちゃんも横島君のこと大好きよ~」