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シンダラ

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耳で、頬で、体で
静かに感じている
私の傍を吹きぬける、風を




冷たい風が吹いていた
今までは、ずっと

一人ぼっちだったわけじゃない
誰かは傍にいてくれた

でも

一番いて欲しいと思う時
私が思うままに動いた時
本気で仕事をこなした時

広い世界の中で
私はいつも、たった一人だったから

風が吹いていた
寂しさという風が
私の心の中に



今は、やんでいる
彼が、いるから



どれほど振り回そうとも
どんな酷い目に会おうとも
たとえ死にそうになったとしても

私を見捨てない
私から離れない

彼がいてくれるから

素直に想いを伝えられないけれど
時に傷つけてしまうこともあるけれど



風に吹かれながら
脳裏を掠めた、ふとした思いつき
恥かしくて言い出せるはずもない

彼のもとへ
この優しい風が
想いを届けてくれれば、なんて



首を振り、否定しようとする
思った内容ではなく
思った事自体を
恥かしさ故に




それを遮るかのように

私の頬を撫でて行く

彼を思わせる、優しく暖かい風が












「あ・・・おばーちゃんひさしぶりー
 なんでせなかをひっぱるんやー
 あしをひっぱるんもやめてー」

「横島君逝っちゃダメ~~~
 シンダラちゃん~、飛ぶ時はもう少し加減してあげて~」