四者四様
それは、四人で一緒に歩いている時
ふと心に過ぎる、微かな風にも似た想い
胸の奥深くから沸き起こる仄かな感情
この時間がもっと早く進んでくれたら、と薫は願った
そうすれば、大人になれば、今よりもっと此方の方を見てくれるのに
けれど、それは叶わないから
きゅっと繋いだ手を握り締める
この時間がこのまま止まってくれたら、と葵は祈った
そうすれば、変わる事が無ければ、ずっとずっと傍に居られるから
でも、叶わない事を知っているから
きゅっと摘んだ裾を握り締める
この時間が何時までも続いてくれたら、と紫穂は望んだ
そうすれば、今の皆が一緒なら、何でも乗り越えていけるだろうと
だから、離れたりはしないように
少しだけ開いた距離を足早に詰める
三人の少女に囲まれて、歩きながら皆元はたまに考える
この時間が出会ったあの日に戻ってくれたら、なんて
ほんの一瞬だけ考えて、末に至るだろう結論に溜息を吐く
時間を何度繰り返した所で、きっと自分はこの場所にやって来るだろうから